こんな質問に税理士事務所経験15年以上の私が解説します。
iDeCoに加入すると税金対策になります。
iDeCoの掛け金は全額所得控除です。所得控除が増えるとその分、所得が減るので税金対策につながります。
さらに副業が20万円以下であれば、年末調整で所得税が還付されます。
この記事でわかること
- iDeCoの税制上の3つの特徴
- 副業している人がiDeCoに加入するとどうなるか
- iDeCoに加入した時に減る税金
副業の税金の計算方法
個人の所得は全部で10種類あり、給料は給与所得です。副業はブログ、せどり、株、DX、アルバイトなど様々ですが、今回はブログを例にします。
ブログやアフィリエイトの副業は通常、雑所得です。
副業の税金の計算方法は「給料の給与所得と、副業の雑所得の計算方法は違う」「給料と副業の所得は合計して税金を計算する」この2つを知っておいて下さい。
計算式にすると以下のようになります。
メモ
① 給与所得 = 収入金額(源泉徴収される前) ー 給与所得控除額
② 雑所得 = 総収入金額 ー 必要経費
③ 所得(①+②) ー 所得控除 =課税所得(課税標準額)
④ 課税所得(③) × 税率 =所得税
副業の税金の計算方法について詳しくは以下の記事で確認できます。
イデコ(iDeCo・個人型確定拠出年金)とは
iDeCoに加入した方は、掛金を定期預金・投資信託・保険などの中から自分にあっている商品を選択して運用していきます。
メモ
1.掛け金は全額所得控除
2.運用益、値上がり益は全額非課税
3.年金として受け取る場合は「公的年金控除」一時金の場合は「退職所得控除」
iDeCoには3つの税制上の特徴があります。
今回は「1.掛け金は全額所得控除」「3.年金として受け取る場合は「公的年金控除」一時金の場合は「退職所得控除」」がポイントです。
イデコは将来の老後資金なので、原則60歳まで引き出しができません。
副業の税金を減らす2つの方法
副業の税金は経費を増やす、iDeCoなどで所得控除を増やす方法があります。
経費の増加
副業の雑所得の計算方法をもう一度確認しましょう。
ポイント
雑所得 = 総収入金額 ー 必要経費
必要経費が増えれば雑所得が減ります。極端な話しですが、ブログやアフィリエイトの収入が20万円でも、経費が20万円あれば所得は0になります。
副業の収入が増えても同じ金額の経費がかかっていれば、副業をしても税金に影響はありません。
ブログやアフィリエイトの経費はドメイン料、レンタルサーバー料、参考図書などなので、そんなに経費はありません。
パソコンの購入費用なども経費になりますが、経費のために必要のないパソコンなどを購入することはおすすめしません。
パソコンの会計処理についてはこちらで確認できます。
iDeCoを使った所得控除の増加
iDeCoは所得控除だよ。
課税所得の計算方法をもう一度確認しましょう。
ポイント
所得 ー 所得控除 =課税所得(課税標準額)
所得控除が増えれば、課税所得が減ります。極端な話しですが副業の雑所得が20万円でも、所得控除が20万円増えれば、副業をしても課税所得はかわりません。
1つ目の方法の経費を増やすですが、アルバイトを副業にする方もいます。
アルバイトは給与所得なので、原則経費がないので1つ目の方法は使えませんが、所得控除を増やすことはできます。
iDeCoは20万円以下の副業で税金が戻ってくる
これはiDeCoは「掛け金が全額所得控除」「年末調整で完了」するからです。
ここまでの情報を整理してみます。
メモ
・20万円以下の副業は確定申告は不要だが、住民税の申告は必要
・20万円以下の副業は住民税が増え、保育料も増えるかもしれない
・iDeCoの掛け金は全額所得控除
・iDeCoは年末調整で完了
iDeCoで所得税は還付される
20万円以下の副業に対して、所得税と住民税では今以下の状況になっています。
所得状況 | iDeCoの所得控除 | |
所得税 | 本業の給与所得のみ | 年末調整で控除される |
住民税 | 本業の給与所得と副業の雑所得 | 年末調整で控除される |
メモ
・20万円以下の副業は、確定申告が不要なので副業の所得は所得税では増えていない
・iDeCoの所得控除は年末調整で控除できるので、所得税ではiDeCoの掛け金分の課税所得が減っている
20万円以下の副業は、確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。20万円以下の副業を住民税のみで申告した場合、所得金額に差がでてきます。
副業の所得を全額iDeCoにすると、住民税では副業で増えた所得分はiDeCoの所得控除が増えるので課税所得に変化はありません。
しかし所得税ではiDeCoの所得控除分の課税所得が減ります。
生命保険料控除は年末調整で控除されるから所得税は減るけど、副業分の所得が全額減るわけではないから、住民税や保育料が増えるかもしれないんだ。
iDeCoでどのくらいの所得税が減るのか
iDeCoによって還付される所得税について計算してみます。
単位:円
課税所得金額 | 目安の年収 | iDeCoの掛け金10万円 | iDeCoの掛け金20万円 |
195万円以下 | 440万円まで | 5,100 | 10,200 |
195万円を超え 330万円以下 | 440万円〜650万円 | 10,200 | 20,400 |
330万円を超え 695万円以下 | 650万円〜1,080万円 | 20,400 | 40,800 |
695万円を超え 900万円以下 | 1,080万円〜1,300万円 | 23,400 | 46,900 |
iDeCoと貯金を比較
「副業でせっかく稼いだお金をiDeCoに投資するのはちょっと...」と思うかもしれませんが、貯金にするなら一部でもiDeCoにすることをおすすめします。
仮に副業で稼いだ金額を貯金にした場合、税金はこうなります。
単位:円
10万円 | 20万円 | |||||
所得税 | 住民税 | 合計 | 所得税 | 住民税 | 合計 | |
1年 | ー | 10,000 | 10,000 | ー | 20,000 | 20,000 |
5年 | 50,000 | 50,000 | 100,000 | 100,000 | ||
10年 | 100,000 | 100,000 | 200,000 | 200,000 | ||
20年 | 200,000 | 200,000 | 400,000 | 400,000 | ||
30年 | 300,000 | 300,000 | 600,000 | 600,000 |
20万円以下の副業で確定申告不要の場合を想定して計算しています。
次は副業の所得を全額iDeCoにした場合です。
単位:円
年収440万円(目安)までの場合 | ||||||
10万円 | 20万円 | |||||
所得税 | 住民税 | 合計 | 所得税 | 住民税 | 合計 | |
1年 | △5,100 | ー | △5,100 | △10,200 | ー | △10,200 |
5年 | △25,500 | △25,500 | △51,000 | △51,000 | ||
10年 | △51,000 | △51,000 | △102,000 | △102,000 | ||
20年 | △102,000 | △102,000 | △204,000 | △204,000 | ||
30年 | △153,000 | △153,000 | △306,000 | △306,000 |
最後にiDeCoをしなかった場合とした場合を比較してみます。
単位:円
年収440万円(目安)までの場合 | ||||||
10万円 | 20万円 | |||||
しなかった場合 | した場合 | 差額 | しなかった場合 | した場合 | 差額 | |
1年 | 10,000 | △5,100 | 15,100 | 20,000 | △10,200 | 30,200 |
5年 | 50,000 | △25,500 | 75,500 | 100,000 | △51,000 | 151,000 |
10年 | 100,000 | △51,000 | 151,000 | 200,000 | △102,000 | 302,000 |
20年 | 200,000 | △102,000 | 302,000 | 400,000 | △204,000 | 604,000 |
30年 | 300,000 | △153,000 | 453,000 | 600,000 | △306,000 | 906,000 |
iDeCoをしなかった場合とした場合を比較すると、長期的にみて税金はこれだけの差額が発生します。
副業で稼いだお金の使い方で、税金にこれだけの差がでてきます。
iDeCoと副業のまとめ
iDeCoは税制上のメリットがあり、副業で稼いでも税金対策になります。
副業で稼いだお金を貯金しても利息はわずか、さらに貯金しても税金は減りません。
iDeCoは原則60歳まで引き出しができないので貯金が苦手な人は強制的に貯金できます。
稼いだお金の一部をiDeCoで税金対策、将来の貯蓄にしてはどうでしょうか。
こちらの記事も一緒によく読まれています。