



イデコ(iDeCo)は改正が行われ2017年1月から主婦(第3号被保険者)の方でもイデコに加入できるようになりました。
パート主婦の方は、扶養の範囲内の所得税が発生しない「103万の壁」や、社会保険の「130万の壁」を意識して働く方が多いです。
130万円まで働くと、社会保険は扶養になりますが103万円を超えているので所得税が発生します。
しかしパート主婦がイデコに加入すれば、130万円まで働いても所得税が発生しなくなります。




今回は税理士事務所10年以上の経験を活かしてパート主婦のイデコ(iDeCo)についてご紹介します。
さらに60歳までイデコに加入した時のシミュレーションをしているので、将来の手取り額の差が参考になれば嬉しいです。
この記事でわかること
・主婦がイデコに加入するメリットとデメリット
・年収130万円でイデコに加入した場合のシミュレーション
・60歳になった時の手取り金額
イデコの加入をオススメする人
- 社会保険の扶養範囲でも所得税を少なくしたい
- 将来のために貯蓄をしたい
- 貯蓄が苦手

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年収130万円のパート主婦がイデコに加入するとどうなる?
年収130万円のパート主婦の方がイデコに加入すると所得税は最高0円になります。
イデコの掛金は加入対象者の働き方によって掛金の上限額が違い、主婦(第3号被保険者)の方は月額23,000円、年額276,000円まで積み立てできます。

所得税がかからない年収は103万円、社会保険の扶養は130万円、130万円と103万円の差額は27万円です。この金額は、主婦の方が積み立てできるイデコの上限276,000円に近い金額になります。
今回は「130万円と103万円の差額をイデコに加入したら所得税が還付になる」ということです。



こんなこと思いませんか?しかしイデコには様々なメリットがあります。
主婦がイデコに加入するメリット
主婦がイデコに加入するメリットは主に以下の3つです。
メモ
・130万円まで働いても所得税がかからない
・保育料に影響する
・老後の資金を自分で確保できる
130万円まで働いても所得税がかからない
イデコは税制優遇が3つあり、その1つは「掛金が全額所得控除」になることです。
例えば年収130万円の主婦がイデコを年間27万円支払った場合、所得税は年収103万円と同じ0円になります。
図にすると上のようなイメージです。年収103万円の場合の所得は38万円ですが、基礎控除が38万円あるので所得は0円になり税金も0円です。
一方、年収が130万円の場合の所得は65万円です。基礎控除38万円だと27万円の所得が発生しますが、イデコの掛金が27万円あるので所得、税金が0円になります。

基礎控除
他の所得控除とは違い一定の要件に関係なく、一律に適用される控除のこと
所得
利益と同じようなもの
保育料に影響する
年収103万円と130万円の違いは税金だけでなく、保育料にも影響があります。
保育料は自治体によって違いがありますが、所得によって保育料の金額が変わります。
所得の階層毎に保育料が設定されてあり、保育料の階層を求めるには住民税の所得割額が基となります。

課税所得
税金を計算するもととなる金額
老後の資金を自分で確保できる
イデコは原則60歳まで引き出すことができません。老後のために貯金が苦手な方は、イデコでほぼ強制的に老後の資金を確保することができます。
イデコの商品は定期預金や保険、投資信託があって、運用して得た利益に対して税金が発生しません。これがイデコの税制優遇の2つ目です。
イデコで運用するとどうなるか後でシミュレーションをします。
主婦がイデコに加入するデメリット
イデコは税制優遇がありメリットが多い印象ですが、デメリットもあります。
デメリットで抵抗を感じる場合は、無理にイデコに加入するのをオススメしません。メリットと同様に主に3つ確認しましょう。
メモ
・103万円を超えないと所得税に影響はない
・原則60歳まで引き出しできない
・イデコの掛金は必ず増えるわけではない
103万円を超えないと所得税に影響はない
イデコの税制優遇1つ目の「掛金が全額所得控除」ですが、このメリットは所得が発生していなかったらメリットに感じません。
年収が103万円以下の場合、イデコの有無に関係なく所得税が発生しないので注意しましょう。
原則60歳まで引き出しできない
イデコは原則60歳まで引き出しがないので、急に資金が必要になった時に困ります。
イデコの掛金は余剰資金や老後の資金にしましょう。イデコは毎月5,000円から積み立てができるので、無理のない範囲で積み立てすることをオススメします。
イデコの掛金は必ず増えるわけではない
イデコの掛金は預金や保険、投資信託の3種類の商品を選んで運用します。
商品によって元本保証型と元本変動型があるので、両方の特徴を理解して選択しましょう。
メリット | デメリット | |
元本保証型 |
・満期時の元本と利息が確保される ・掛金が全額所得控除 |
・金利が低いので手数料を引かれると元本割れになる(手数料の金額が重要) ・運用益が非課税になる税制優遇を受けられない |
元本変動型 |
・資産が増えた時の運用益が非課税 ・掛金が全額所得控除 |
・元本が保証されていない |

年収130万円のパート主婦がイデコに加入した場合のシミュレーション
イデコの税制優遇は「支出時に掛金が所得控除」「運用時に運用益が非課税」「受取時に一定額まで非課税」の3つです。せっかくなので、この3つの税制優遇をフル活用した場合のシミュレーションをします。
計算を簡素化するために雇用保険は計算していません。
年齢 | 30歳 |
年収 | 130万円 |
配偶者 | 有り(共働き) |
こども | 1人 |
社会保険 | なし |
退職金制度 | なし |
毎年の所得税と住民税
税制優遇の1つ目「支出時に掛金が所得控除」です。掛金によって、節税金額に違いがあります。
単位:円
イデコなし | 年間60,000円 | 年間144,000円 | 年間276,000円 | |
所得税 | 13,700 | 10,700 | 6,400 | 0 |
住民税 | 37,000 | 31,000 | 22,600 | 9,400 |
合計 | 50,700 | 41,700 | 29,000 | 9,400 |
節税金額 | ー | 9,000 | 21,700 | 41,300 |
60歳までの節税金額
この表は60歳まで、所得控除を受けた場合の節税金額の合計です。
単位:円
イデコに加入した年齢 | 年間60,000円 | 年間144,000円 | 年間276,000円 |
20歳 | 360,000 | 868,000 | 1,652,000 |
25歳 | 315,000 | 759,500 | 1,445,500 |
30歳 | 270,000 | 651,000 | 1,239,000 |
35歳 | 225,000 | 542,500 | 1,032,500 |
40歳 | 180,000 | 434,000 | 826,000 |
45歳 | 135,000 | 325,500 | 619,500 |
50歳 | 90,000 | 217,000 | 413,000 |
60歳になった時の節税金額と運用益
税制優遇の2つ目「運用時に運用益が非課税」です。30歳のパート主婦なので、運用期間は60歳までの30年間です。

単位:円
イデコの掛金が年間60,000円(月5,000円)の場合 | |||
運用利率 | 1% | 3% | 5% |
30年間の掛金総額 | 1,800,000 | ||
期待運用益 | 287,100 | 1,054,500 | 2,186,340 |
節税金額 | 270,000 | ||
合計 | 2,360,100 | 3,127,500 | 4,259,340 |
イデコをしていない場合との差額(期待運用益+節税金額) | 557,100 | 1,324,500 | 2,456,340 |

単位:円
イデコの掛金が年間144,000円(月12,000円)の場合 | |||
運用利率 | 1% | 3% | 5% |
30年間の掛金総額 | 4,320,000 | ||
期待運用益 | 689,040 | 2,530,800 | 5,247,216 |
節税金額 | 651,000 | ||
合計 | 5,663,040 | 7,504,800 | 10,221,216 |
イデコをしていない場合との差額(期待運用益+節税金額) | 1,340,040 | 3,181,800 | 5,898,216 |

単位:円
イデコの掛金が年間276,000円(月23,000円)の場合 | |||
運用利率 | 1% | 3% | 5% |
30年間の掛金総額 | 8,280,000 | ||
期待運用益 | 1,320,660 | 4,850,700 | 10,057,164 |
節税金額 | 1,239,000 | ||
合計 | 10,851,660 | 14,381,700 | 19,558,164 |
イデコをしていない場合との差額(期待運用益+節税金額) | 2,559,660 | 6,089,700 | 11,296,164 |
60歳で受け取った場合の税金
税制優遇の3つ目「受取時に一定額まで非課税」です。受け取った時の税金で元本割れしたら意味がないですからね。
イデコの受取は一括で受け取る方法と、年金で受け取る方法があります。今回は一括で受け取る方法でシミュレーションしてみます。
単位:円
掛金 | 利率 | 掛金+運用益 | 税金 | 手取り金額 |
年間60,000円 (月5,000円) |
1% | 2,087,100 | 0 | 2,087,100 |
3% | 2,854,500 | 0 | 2,854,500 | |
5% | 3,986,340 | 0 | 3,986,340 | |
年間144,000円 (月12,000円) |
1% | 5,009,040 | 0 | 5,009,040 |
3% | 6,850,800 | 0 | 6,850,800 | |
5% | 9,567,216 | 0 | 9,567,216 | |
年間276,000円 (月23,000円) |
1% | 9,600,660 | 0 | 9,600,660 |
3% | 13,130,700 | 0 | 13,130,700 | |
5% | 18,137,164 | 236,746 | 17,900,418 |
30年間積み立てて一括で受け取った場合は、1,500万円まで税金がかかりません。他に退職金がある場合は税金の金額が違うので注意してください。
パート主婦のイデコのまとめ
今回年収130万円のパート主婦の方でシミュレーションをしました。もし今あなたが130万円を目安に働いている場合、その理由は何ですか?
103万円ではなく、130万円まで働く理由が老後の資金確保であれば、私なら貯金ではなく一部をイデコで運用します。
何度も言いますが、イデコは原則60歳まで引き出しができないので、掛金は余剰資金をオススメします。
今回のシミュレーションでは運用利率を1%、3%、5%に区分しましたが運用利率が高くなればリスクも高くなります。投資で大事なことは「得することよりも損をしないこと」です。
イデコに興味があり、すぐに加入したい気持ちはわかりますがホントに今のまま加入しても大丈夫ですか?
突然お金が必要になっても、イデコの掛金を引き出しできません。
イデコは税金対策になりますが節税金額以上に支払い金額が増えるので、将来を考えた運用が必要です。
お金を定期預金にしても利息なんてわずかなものです。しかし定期預金ではなくイデコに加入すると利息以上の節税金額になります。
さらに株式、不動産投資をすると収入は増えます。
お金は使い方で将来が大きく変わってきます。
イデコに加入して少なくなった税金4万円の使い方は大切です。
少しでもお金やイデコに加入することに不安があるなら、その不安を解消してから加入しても遅くありません。
まずはお金について学び、お金を貯める・増やす考え方を身につけてみませんか。