副業が事業所得を認められると「赤字の場合は他の所得と相殺」「青色申告は税金のメリット」が期待できます。
アフィリエイトやブログは経費が少ないので、少しでも税金が有利になる方法で申告したいものです。
そのためには副業を事業所得と認められる必要があります。
そこで副業の所得について、国税局の電話相談センターに問い合わせをしてみました。
今回は、副業は事業所得が認められないのかについてご紹介します。
事業所得と雑所得の違いについても、わかる内容になっているので参考になれば嬉しいです。
副業は事業所得が認められないか問い合わせた内容
実は副業、兼業について定義付けされた法令がなく、一般的に副業と言えば「本業とは別に収入があること」です。
ブログを書いたことがある方はわかると思いますが、1記事更新するのにかなりの時間と労力を費やします。
片手間でできるほどブログ運営は甘くありません。
これだけの時間と労力を割いているのに、本業があるからと言って雑所得になるのは少し納得がいかなかったので国税局の電話相談センターに問い合わせてみました。
問い合わせた内容をまとめると以下です。
ポイント
・時間と労力がどのくらいか、主たる収入なのか、事業としてやっているのかを総合判断
・主たる収入ではなく、収入が少ないが事業として時間と労力を費やしているのであれば事業所得になることもある
・事業所得は開業届出書の提出が必要
「主たる収入ではなく、収入が少ないが事業として時間と労力を費やしているのであれば事業所得になることもある」この言葉で、ブログやアフィリエイトを本気でしてる方は、雑所得ではなく事業所得で申告ができそうだと判断しました。
この場合、時間と労力が必要になるので「毎日の作業量や作業時間」をメモしておくとよさそうです。
副業を事業所得にするには
副業を事業所得にするにはいくつかのポイントがあります。
問い合わせ内容から「時間と労力」「主たる収入か」「継続しているか」がポイントです。
ポイント1.時間と労力(事業として実施しているか)
副業を事業所得と説明するには、その内容が事業として実施しているかが判断基準になります。
そのため、片手間でできるような副業を事業所得とするには難しいでしょう。
どれだけその仕事に、時間と労力を費やしているかがポイントです。
ポイント2.主たる収入か
「中には本業の収入よりも副業の収入の方が多い」なんて方もいます。
例え副業でも、生活の中心となるような主たる収入源であれば事業所得になることがあります。
ポイント3.継続しているか
ポイントの1、2どちらも満たしている場合でも、それが継続して実施されなければ事業所得にするのは難しいです。
継続しない事業をする方はいませんからね。
副業を事業所得にするには届出が必要
事業所得で申告をするには「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出が必要です。
個人事業の開業・廃業届出書 | |
対象者 | 新たに事業所得、不動産所得、山林所得を開始した方 |
提出期限 | 事業の開始等の事実があった日から1月以内 |
提出先 | 納税地を所轄する税務署長 |
届出は簡単に作れる無料サービスで作るとはじめてでも作りやすいです。
副業ブログは事業所得か雑所得
副業といっても様々で「アルバイトは給与所得」「アパート経営などは不動産所得」などと、副業の内容によって所得が違います。
アルバイトは給与所得、アパート経営などは不動産所得という所得区分はなんとなく想像ができますが、事業所得と雑所得はどんな所得でしょうか。
事業所得とは
事業所得は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業から発生する所得のことです。
「たまたま趣味で作ったアクセサリーが売れた」場合などは、事業となるような行為であっても事業所得ではなく雑所得になることがあります。
事業所得には明確な金額などの基準がないため、所得の判断をすることが難しくなります。
雑所得とは
雑所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得以外の所得です。
雑所得の具体例
・公的年金
・著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料など
副業は一般的に雑所得と言われています。
事業所得と雑所得の違い
青色申告って聞いたことがある?雑所得は青色申告にはならないからね。
事業所得(青色申告) | 事業所得(白色申告) | 雑所得 | |
確定申告の有無 | ○ | ○ | △ |
住民税の申告の有無 | ○ | ○ | ○ |
青色申告 | ○ | × | × |
損益通算 | ○ | ○ | × |
純損失の繰越控除 | ○ | × | × |
青色申告特別控除額 | ○ | × | × |
少額減価償却資産(30万円未満) | ○ | × | × |
貸倒引当金 | ○ | × | × |
家内労働者等の必要経費の特例 | ○ | ○ | ○ |
決算書 | ○ | ○ | × |
よく20万円以下の副業は申告が不要と言われていますが、住民税の申告は必要なので勘違いしないようにしましょう。
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事業所得と雑所得のメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
事業所得 |
・損益通算できる ・青色申告であれば特典が受けられる |
・損失になっても申告が必要 |
雑所得 |
・20万円以下であれば申告不要 ・損益計算書が不要 |
・損失を他の所得と相殺できない ・帳簿の作成が必要 |
事業所得と雑所得はどっちが得なのか?
結論から言うと事業所得と雑所得は、事業所得の方が有利です。
その理由は主に「損益通算」「純損失の繰越控除」「青色申告特別控除額」の3つです。
損益通算
損益通算とは、損失を他の所得と相殺できることです。
副業は必ずしも利益がでるわけではなく、時には損失が発生します。
雑所得の損失は他の所得と相殺をすることができませんが、事業所得の損失は他の所得と相殺ができます。
純損失の繰越控除
純損失の繰越控除は、損失を3年間繰越ができることです。
事業所得の損失が多く、給与所得など他の所得と相殺(損益通算)をしても損失が残ることがあります。
青色申告特別控除額
青色申告特別控除額は、最高65万円(令和2年以降は55万円)の控除を受けることができます。
青色申告特別控除は経費を支払っていないのに、所得から控除できる経費みたいなものです。
事業所得は青色申告が有利
事業所得には青色申告と白色申告があります。
先ほどの「純損失の繰越控除」「青色申告特別控除額」は青色申告の特典です。
以前は白色申告は事業所得などの合計所得が300万円以下であれば、帳簿の作成義務が必要ありませんでしたが、現在は白色申告でも帳簿の作成義務が必要です。
白色申告と青色申告の帳簿の作成方法などに、それほど差がなくなったので事業所得であれば青色申告をおすすめします。
まとめ
副業は事業所得が認められないわけではありません。
ポイント
・時間と労力がどのくらいか、主たる収入なのか、事業としてやっているのかを総合判断
・主たる収入ではなく、収入が少ないが事業として時間と労力を費やしているのであれば事業所得になることもある
・事業所得は開業届出書の提出が必要
主たる収入でなくても時間と労力を費やしている場合、副業は事業所得として認められそうです。
明確な条件がないため自分で判断することが難しい場合は、税務署や税理士など専門家の方に相談すると安心できます。
税理士に相談するときは自分がしている副業に詳しい方を選ぶと、副業の内容を理解してくれるので話しがスムーズに進みます。
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