



個人事業主で電話やインターネットなどを、業務用とプライベート用を区別せず同じものを使っている方は多いです。
さらに副業をしている人は、ほぼ区別していないのではないでしょう。
ブログやライターにとって電話やインターネットは必需品です。
仕事とプライベートが一緒になっているという理由で、経費にならないのは納得がいきません。
しかし経費にするためにもう一台スマホを購入する気にはなりません。
実はこういった場合、電話代やインターネット料金の一部を、勘定科目の「通信費」として経費にすることが可能です。
通信技術が進歩している近年は特に、連絡手段としてインターネットや携帯電話を日常的に使用することも少なくないため、頻度の高い勘定科目となります。
ただし「通信費」と間違えやすい取引もありますので気をつけてください。
また業務に使用するスマホ購入の際は、10万円を境にして、勘定科目が「消耗品費」から「工具器具設備」に変わるので注意しましょう。
今回は税理士事務所経験がある私が、電話代やインターネットの仕訳や勘定科目の解説。
さらにスマホを購入するときの費用についての注意点などを、詳しくご紹介します。
この記事でわかること
・電話代・インターネットの仕訳と勘定科目
・スマホを購入した時の仕訳と勘定科目
・仕事とプライベートが一緒の場合の経費
電話代・インターネットは「通信費」
まず通信費とは、取り引き先などとコミュニケーションのために使われる費用などのことです。
使用頻度が高い電話代やインターネット料金も、勘定科目は「通信費」となります。
では勘定科目の「通信費」について、具体的に確認してみます。
通信費の具体例
実際に事業で扱う通信費の具体例は以下です。
通信費の具体例
①電話料金(固定電話・携帯電話)
②インターネット料金・プロバイダ料金
③郵便代金
④配達料金
以上の4種類を業務上で使用した分のみを、通信費として経費にできます。プライベートと業務用を兼用している場合は、プライベートで使った分は除外しなければいけません。

仕訳時は摘要に内容を記載する


では実際、「電話代」や「インターネット料金」という内容は、帳簿のどこにどのようにして記載すれば良いのでしょうか?
帳簿によって様式はさまざまですが、基本的にどの帳簿にも「摘要」という箇所がありますので、そこに取引の詳細内容を入力します。
例えば勘定科目には「通信費」、摘要には「インターネット料金」などと記載しておくのが基本です。
後から確認したときにも一目で分かるようにしておきましょう。

通信費と間違えやすい取引
電話やインターネットの他にも、通信費と間違えやすい取引があります。内容をあげて具体的にお伝えしていきます。

内容 | 勘定科目 |
電話機・コピー機・パソコンなど | 消耗品費(10万円以上の場合は「工具器具備品」) |
ハガキや切手 | 消耗品費 |
祝電などの電報 | 接待交際費 |
宣伝目的のダイレクトメールなど | 広告宣伝費 |
収入印紙 | 租税公課 |
【電話機・コピー機・パソコンなど】
電話機やコピー機やパソコンなどの機器本体の購入は、「消耗品費」や「賃借料」などの勘定科目になります。
【便箋・封筒・切手がないハガキ】
切手付きのハガキや切手の代金は「通信費」ですが、便箋や封筒あるいは切手が付いていないハガキに関しては、勘定科目は「消耗品費」になります。
ハガキ(切手が付いていない場合)を勘定科目に記載する具体例として、「消耗品費(ハガキ代)」「通信費(切手代)」などと分けて処理します。
【祝電などの電報】
電報は電話やインターネットを使用して依頼しますし、電話代と合わせて支払うことが多いですが、相手が取引先である場合は、勘定科目は「接待交際費」で処理しましょう。
【宣伝目的に使用したダイレクトメールなど】
ダイレクトメールに使用した切手の代金や、宣伝目的で使用したFAX送信料金は、金額が大きい場合は「広告宣伝費」として処理することが可能です。
勘定科目の「通信費」とは、あくまでも業務上で通信するために使用した費用のことを示すため、間違いやすいものは確認するようにしてください。
スマホの購入費用は金額によって勘定科目が違う
仕事上スマホを使用する方も多いですが、スマホの購入代金は10万円未満の場合は、勘定科目の「消耗品費」として計上することが可能です。
では10万円を超えた高額のスマホの場合は、どうなるのでしょうか?
10万円以上のスマホを購入した場合は、勘定科目は「工具器具備品」で資産計上が必要です。
印紙代は「租税公課」




領収書に収入印紙を貼る瞬間を見たことがある人は多いと思います。
収入印紙は印紙税という税金に関係する証書のため、「租税公課」という税金関係の支払いをしたときに使用する勘定科目になります。
契約書や領収書などの印紙税法で定められた課税文書を作成した場合は、印紙税法により印紙税を収めることが必要です。
そのため、課税文書に収入印紙を貼って消印をすることで、印紙税を納税することになります。
ただ収入印紙は、消印をして使ったときに経費となるため、収入印紙をまとめて購入して未使用のまま保管しておく場合は、勘定科目は「貯蔵品」として資産扱いにしなければいけません。
【収入印紙購入の注意点】
収入印紙は郵便局や役所などで購入する場合には消費税はかかりませんが、金券ショップで購入すると消費税が加算されますので注意が必要です。
もし金券ショップを利用して収入印紙を購入した場合は、「租税公課」の他に、「仮払消費税」として消費税を別にする必要がありますので、記載時には気をつけましょう。
個人事業主の電話代は家事按分
個人事業主の方で、プライベートと仕事で同じ電話を使っている人も多いと思いますが、個人事業主の電話代は、家事按分して経費にすることができます。
家事按分とは、プライベート用と業務用とを兼ねて使用している場合、その一部を経費にして計上することを言います。
ただし、電話代を経費として認めてもらうためには、業務用として実際に使用しているという証明が必要です。
そのため取引先だけでなく、税務署や銀行に提出する書類の連絡先にも経費で計上する電話の番号を掲載しましょう。
名刺を持っている場合は名刺にも同じ番号を載せて、仕事でも使用していることが分かるようにしておくことが大切です。
電話代・インターネットの仕訳と勘定科目
電話代とインターネットの勘定科目は通信費です。ここでは具体的に仕訳を確認しましょう。
家事按分ありの場合

借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
通信費 | 8,000 | 現金 | 10,000 |
事業主貸 | 2,000 |
仕事として使用した分は借方に「通信費」、またプライベートで使用した分は借方に「事業主貸」として記載します。
家事按分なしの場合

借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
通信費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |


スマホ代と一緒に支払う場合

借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
通信費 | 10,000 | 現金 | 100,000 |
消耗品費 | 90,000 |


借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
通信費 | 8,000 | 現金 | 100,000 |
事業主貸 | 2,000 | ||
消耗品費 | 72,000 | ||
事業主貸 | 18,000 |


スマホの購入金額を100,000円を超えると「工具器具備品」という資産になるので注意しましょう。
10万円以上の資産を購入した時の仕訳と勘定科目の具体例
翌月に支払う電話代は未払金

借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
通信費 | 10,000 | 未払金 | 10,000 |


借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 10,000 | 現金(普通預金) | 10,000 |
使用した電話代を翌月に支払う場合の勘定科目は「未払金」になります。
例えば12月分の電話代は翌月の1月に支払いますが、支払った月の勘定科目を「通信費」とするため、12月の時点では「未払金」として処理します。
未払金で処理すると12月で支払っていない費用も経費として計上できます。
電話代の勘定科目のまとめ
電話代やインターネット料の勘定科目は「通信費」です。個人事業主や副業で個人とプライベートが兼用されていたら家事按分に注意しましょう。
家事按分することで経費として計上できるので、比率を把握して説明できるようにしておくことが大切です。