副業分の住民税を自分で納める「普通徴収」にできるかは、副業収入が給与か、給与以外の所得かによって変わります。
業務委託やブログなどによる給与以外の所得は、確定申告の際に住民税の徴収方法として「自分で納付」を選べます。一方、アルバイトやパートなどの給与は、本業の給与と合算して住民税が計算され、副業分だけを普通徴収にできないことがあります。
なお、普通徴収を選んだからといって、会社に副業を知られないことが保証されるわけではありません。会社に知られたくない場合でも、必要な確定申告や住民税申告は行いましょう。
この記事では、副業の住民税を普通徴収にできるケースとできないケース、具体的な手続き、納付までの流れをわかりやすく解説します。
副業の住民税を普通徴収にするときによくある質問
普通徴収にすれば会社に副業はばれませんか?
普通徴収にしても、会社に副業を知られないとは言い切れません。
普通徴収は、住民税を自分で納める方法です。副業を会社に知られないようにするための制度ではありません。
また、副業の種類によっては普通徴収そのものを選べないこともあります。会社に知られないことだけを目的に判断せず、自分の副業が普通徴収の対象になるかを確認しましょう。
アルバイトやパートの副業でも普通徴収にできますか?
アルバイトやパートの給料は「給与所得」にあたるため、副業分だけを普通徴収にできないことがあります。
確定申告で「自分で納付」を選べるのは、基本的に給与・公的年金等以外の所得に対する住民税です。
給与を2か所以上から受け取っている場合の扱いは自治体によって確認が必要なため、住んでいる市区町村の住民税担当に問い合わせましょう。
確定申告で「自分で納付」を選び忘れたら変更できますか?
変更できる場合があります。
ただし、変更できる期限や手続きは自治体によって異なります。住民税の計算が進んでいると対応できない可能性もあるため、気づいた時点で早めに市区町村へ確認してください。
普通徴収の納付書はいつ届きますか?
普通徴収する住民税がある場合は、一般的に6月ごろに本人宛ての納税通知書が届きます。
ただし、発送日は自治体によって異なります。申告が遅れた場合などは、通常より遅れて届くこともあります。
副業の住民税を普通徴収にできるかは収入の受け取り方で変わる
副業の住民税を普通徴収にできるか判断するときは、「副業」という名前ではなく、その収入が給与なのか、給与以外の所得なのかを確認することが重要です。
| 副業収入 | 主な例 | 住民税の扱い | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 給与 | アルバイト・パートなど | 本業の給与と合算して特別徴収になることがある | 市区町村の取扱いを確認する |
| 給与以外の所得 | 業務委託・ブログ・事業など | 「自分で納付」を選べる | 確定申告書などの選択欄を確認する |
ここでいう「特別徴収」とは、会社が給料から住民税を差し引いて納める方法です。「普通徴収」は、本人が納付書や口座振替などで住民税を納める方法をいいます。
なお、「業務委託だから必ず雑所得」「ブログだから必ず事業所得」というように、副業の名前だけで所得の種類が決まるわけではありません。実際の仕事内容や収入の状況に応じて判断します。
アルバイトやパートの給料は副業分だけ普通徴収にできない可能性がある
アルバイトやパートから受け取る給料は給与所得です。
給与所得に対する住民税は、本業と副業の給与を合算して計算し、主な勤務先の給料から特別徴収する取扱いになることがあります。
たとえば、本業の会社とは別にアルバイト先から給与を受け取っている場合でも、「アルバイト分の住民税だけを自宅に届く納付書で払いたい」と自由に選べるとは限りません。
給与の副業がある人は、住んでいる市区町村へ確認しましょう。
参考:小平市「副業分の収入の住民税を、自分で納付することはできますか」
業務委託やブログなどの収入は「自分で納付」を選べる
業務委託やブログなどによる収入が給与以外の所得になる場合は、その所得に対する住民税について「自分で納付」を選択できます。
確定申告をする場合は、確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」にある、給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法で「自分で納付」を選びます。
本業の給与に対する住民税は会社の給料から天引きし、副業による給与以外の所得に対する住民税は自分で納める、という形です。
「自分で納付」を選んでも普通徴収にならない場合がある
確定申告で「自分で納付」を選んだからといって、必ず普通徴収になるとは限りません。
給与以外の所得が赤字になっている場合など、住民税の計算結果によっては普通徴収に分ける税額が生じず、特別徴収になることがあります。
「自分で納付」を選んだのに会社の給与から住民税が引かれているなど、想定していた方法と違う場合は、市区町村へ確認してください。
副業の住民税を普通徴収にする方法
副業の住民税を普通徴収にしたい場合は、次の順番で確認するとわかりやすくなります。
- 副業収入が給与か、給与以外か確認する
- 確定申告が必要か確認する
- 給与以外の所得は「自分で納付」を選ぶ
- 納税通知書を確認して納付する
以下で、それぞれの手続きを詳しく説明します。
確定申告をする人は住民税の欄で「自分で納付」を選ぶ
確定申告をする人は、確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」を確認します。
給与・公的年金等以外の所得に対する住民税を自分で払いたい場合は、徴収方法として「自分で納付」を選択します。
e-Taxを利用する場合も、住民税の徴収方法に関する項目を確認しましょう。
自治体によっては、e-Tax上で「自分で納付」を選べないケースについて、住民税担当へ問い合わせるよう案内しています。画面上で選択できない場合は、そのまま申告を進めるのではなく、住んでいる市区町村へ確認すると安心です。
確定申告をしない人は市区町村で住民税の申告をする
所得税の確定申告をしない人でも、副業による所得がある場合は、住民税の申告が必要になることがあります。
特に注意したいのが、いわゆる「20万円以下なら確定申告不要」というルールです。
一定の給与所得者は、給与・退職所得以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要になる場合があります。しかし、これは所得税のルールです。
所得税の確定申告が不要でも、原則として住民税の申告が必要になる場合があります。
ただし、副業が給与で、副業先から市区町村へ給与支払報告書が提出されている場合など、改めて住民税申告をしなくてもよいケースもあります。
自分が申告対象かわからない場合は、住んでいる市区町村へ確認しましょう。
副業の確定申告については、以下の記事もご確認ください。
「自分で納付」を選び忘れた場合は早めに市区町村へ確認する
確定申告で「自分で納付」を選び忘れた場合は、できるだけ早く住んでいる市区町村へ連絡しましょう。
自治体によっては、住民税申告書を提出して徴収方法を変更する手続きを案内している場合があります。
ただし、いつでも変更できるとは限りません。住民税の計算や勤務先への通知が進んでいると対応できない可能性もあるため、気づいた時点で確認することが大切です。
普通徴収を選んだ後は自宅に届く納付書で住民税を支払う
普通徴収する住民税がある場合は、市区町村から本人宛てに納税通知書が届きます。
通知書には、住民税の金額や納期限などが記載されています。内容を確認し、期限までに納付しましょう。
納付書は通常6月ごろに自宅へ届く
普通徴収の納税通知書は、一般的に6月ごろに自宅へ届きます。
たとえば、文京区では2026年度の普通徴収の納税通知書を6月10日に本人宛てへ発送しています。羽島市でも、例年6月上旬から中旬ごろに発送すると案内しています。
ただし、発送日は自治体によって異なります。
また、申告が遅れた場合は通知書の発送が遅くなることがあります。住民税が非課税の場合など、通知書そのものが届かないケースもあります。
参考:文京区「令和8年度特別区民税・都民税(住民税)の納税通知書の発送について」
住民税は年4回の支払いが一般的だが納期限は納付書で確認する
普通徴収の住民税は、一般的に年4回に分けて納めます。
一方、会社の給料から住民税が引かれる特別徴収は、通常6月から翌年5月までの12回に分けて納めます。
普通徴収の具体的な納付月や納期限は自治体によって異なるため、手元に届いた納税通知書を確認してください。
普通徴収にしても会社に副業がばれないとは限らない
普通徴収を選択できれば、副業による給与以外の所得に対する住民税を、自分で納められる場合があります。ただし、普通徴収は「副業を会社に知られないための制度」ではありません。
副業をしていることが会社に知られる可能性を、普通徴収だけでなくせるとは考えないようにしましょう。
住民税以外から副業を知られることもある
会社に副業を知られるきっかけは、住民税だけとは限りません。
そのため、「住民税を普通徴収にすれば絶対にわからない」と考えるのは適切ではありません。
また、会社によっては就業規則で副業について届出や許可などのルールを設けていることがあります。税金の手続きと勤務先のルールは別の問題として確認しましょう。
副業が会社にばれるケースなどについては、以下の記事をご確認ください。
会社に知られたくなくても必要な申告は行う
会社に副業を知られたくない場合でも、必要な確定申告や住民税申告を省略してはいけません。
一定の給与所得者は、給与・退職所得以外の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告が不要になることがあります。
ただし、確定申告が不要だからといって、住民税の申告も必ず不要になるわけではありません。
「20万円以下なら何もしなくてよい」と判断せず、確定申告をしない場合は住民税申告が必要か確認しましょう。
参考:国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
副業の住民税を普通徴収にするときのチェックリスト
副業の住民税を普通徴収にしたい場合は、次の順番で確認しましょう。
- 副業収入が給与か、給与以外の所得か
- 副業収入をどの所得として申告するか
- 所得税の確定申告が必要か
- 確定申告をしない場合、住民税申告が必要か
- 給与以外の所得について「自分で納付」を選んだか
- 納税通知書の金額と納期限を確認したか
特に重要なのは、副業が給与かどうかです。
アルバイトやパートのように給与を受け取る副業では、副業分だけを普通徴収にできないことがあります。一方、給与以外の所得であれば、「自分で納付」を選べる場合があります。
まとめ
副業分の住民税を普通徴収にできるかは、副業収入が給与か、給与以外の所得かによって変わります。
アルバイトやパートなどの給与は、本業の給与と合算して住民税が計算され、副業分だけを普通徴収にできないことがあります。
一方、業務委託やブログなどによる給与以外の所得は、確定申告の際に住民税の徴収方法として「自分で納付」を選択できます。ただし、申告内容や税額の計算結果によっては、選択しても普通徴収にならない場合があります。
まずは副業収入の種類を確認し、確定申告または住民税申告が必要か判断しましょう。普通徴収になった場合は、通常6月ごろに届く納税通知書を確認して納付します。
また、普通徴収にしても会社に副業を知られないことが保証されるわけではありません。副業を知られたくない場合でも、必要な税金の申告は正しく行うことが大切です。

