お風呂の手すりで後悔を減らすには、本数よりも「どの動作を支えたいか」から位置を決めることが大切です。
使う場所と手すりの位置が合っていないと、付けても使いにくかったり、ドアや風呂ふたの邪魔になったりします。反対に「必要になってから付ければよい」と考えていると、希望する場所へ後付けできないこともあります。
この記事では、新築や浴室リフォームで手すりの有無・位置に迷っている方に向けて、後悔しやすい原因と位置の決め方、新築時に付けるか後付けするかの判断方法を解説します。
お風呂の手すりに関するよくある質問
お風呂の手すりは何本必要ですか?
お風呂に必要な手すりの本数に、決まった答えはありません。
大切なのは、本数ではなく必要な場所に手すりがあることです。
たとえば、次のような動作で体を支えたいかを考えます。
- 浴室へ出入りする
- 洗い場で立ったり座ったりする
- 浴槽をまたぐ
- 浴槽の中で立ったり座ったりする
すべての場所に手すりが必要とは限りません。実際の入浴動作を確認し、支えが必要な場所から考えると、必要な本数も決めやすくなります。
お風呂の手すりは後付けできますか?
後付けできる場合はありますが、どこにでも自由に付けられるわけではありません。
後付けできるかどうかは、浴室メーカーやシリーズ、壁の種類・状態、取り付けたい位置、手すりの種類などによって変わります。
そのため「今はいらないから、必要になったら付ければよい」と決める前に、希望する場所へ後付けできるか確認しておくと安心です。
吸盤式やマグネット式の手すりで代用できますか?
吸盤式やマグネット式という理由だけで、固定式の手すりと同じように使えるとは限りません。
重要なのは、製品が「人の体を支える用途」に対応しているかどうかです。
浴室には、タオルや小物を掛けるための吸盤式・マグネット式の商品もあります。収納用のバーを、身体を支える手すりとして使用することはできません。
購入するときは、用途や取り付け条件を確認し、自宅の浴室で身体を支える目的に使える製品かを判断しましょう。
お風呂の手すりで後悔する4つの原因
お風呂の手すりは、付ければ必ず便利になるわけではありません。
後悔につながりやすいのは、手すりそのものよりも、位置や本数、設置する時期が実際の使い方と合っていないケースです。
使う動作と位置・高さ・向きが合っていない
手すりを使う場所は、人によって異なります。
浴室へ入るとき、洗い場で立ち上がるとき、浴槽をまたぐときでは、自然に手を伸ばせる場所が違うためです。
さらに、同じ動作でも使う人の身長や体格、体の状態によって使いやすい高さは変わります。そのため「一般的にはこの高さ」といった数字だけで位置を決めるのはおすすめできません。
設置前に、実際にお風呂へ入る動きをしてみましょう。その途中で「ここに手があると支えやすい」と感じる場所を確認すると、必要な位置や向きを考えやすくなります。
本数や配置がドア・風呂ふたなどの邪魔になる
手すりは、多く付けるほど使いやすくなるわけではありません。位置によっては、次のような設備と干渉することがあります。
- 浴室のドア
- 風呂ふた
- 窓
- シャワー
- 収納棚などの浴室設備
手すりを設置するときは「握れるか」だけでなく、その周辺を普段どおり使えるかまで確認することが大切です。
ドアを開閉する、風呂ふたを外す、浴槽へ入るといった一連の動きを確認すると、邪魔になりにくい配置を選べます。
お風呂のふたについては、以下の記事でご確認ください。
手すりの汚れや掃除の手間を想定していない
手すりを付けると、その分だけ掃除する場所も増えます。
特に、手すりと壁の間や取付部分などは、位置によって掃除しにくくなることがあります。
毎日使いやすいことが最優先ですが、設置前には手すりの周囲へ手が届くか、無理なく拭き掃除できるかも確認しておきましょう。
必要以上に本数を増やさないことも、浴室を掃除しやすくする方法の一つです。
必要になれば簡単に後付けできると思い込む
「今は必要ないから、年を取ってから付ければよい」と考える方もいるでしょう。
ただし、希望する場所へ必ず後付けできるとは限りません。
後付けの可否は、メーカーや浴室シリーズ、壁の種類・状態、取り付け位置、手すりの種類などによって変わります。
「壁に付ける手すりなら後付けできる」「浴槽の手すりはすべて後付けできない」と一律に判断するのではなく、自宅で採用する浴室ごとに確認する必要があります。
将来の後付けを考えている場合は、新築やリフォームの打ち合わせ時に「この場所には将来手すりを付けられるか」と確認しておくと判断しやすくなります。
必要な位置は4つの入浴動作から決める
お風呂の手すりの位置は、浴室の寸法だけで決めるのではなく、体を支えたい動作から考えます。
主に確認したいのは、次の4つです。
| 入浴動作 | 手すりの役割 | 設置前に確認すること |
|---|---|---|
| 浴室の出入り | 出入りするときに体を支える | 出入りの途中で自然に手が届くか、ドアの邪魔にならないか |
| 洗い場の移動と立ち座り | 移動や立ち座りを支える | 浴室イスの位置や移動方向と合っているか |
| 浴槽をまたぐ | 浴槽へ入る・出る動作を支える | またぐ途中で握りやすいか、風呂ふたなどと干渉しないか |
| 浴槽内の立ち座りと姿勢保持 | 浴槽内での立ち座りや姿勢を支える | 立ち座りの途中で無理なく手が届くか |
浴室の出入りで体を支える
浴室の出入口では、浴室へ入るときだけでなく、出るときの動作も確認します。
入るときと出るときでは体の向きが反対になるため、片方では使いやすくても、もう片方では手を伸ばしにくいことがあるからです。
また、手すりの位置によってはドアの開閉を邪魔する可能性があります。
ドアを開けるところから浴室へ入り、再び出るところまで動いてみて、途中で自然に手を伸ばせる場所を探すと位置を決めやすくなります。
洗い場の移動と立ち座りを支える
洗い場では、浴室イスから立ち上がるときや、洗い場から浴槽へ移動するときに手すりが役立つ場合があります。
特に確認したいのは、普段座る場所です。
イスの位置から遠すぎたり、手すりを握るために大きく体をひねったりする配置では、使いにくくなります。
浴室イスの位置を決めたうえで、「座る→立つ→浴槽へ移動する」という流れに沿って手を伸ばしてみると、必要な場所が分かりやすくなります。
浴槽をまたぐ動作を支える
浴槽をまたぐときは、一時的に片足で体を支える場面があります。
手すりが必要な場合は、浴槽へ入るときと出るときの両方で、無理なく握れる位置を確認しましょう。
また、浴槽の近くには風呂ふたや水栓などがあるため、手すりだけを見て位置を決めると、普段の使い方を邪魔する可能性があります。
実際に浴槽をまたぐ動きをしながら、周辺設備も問題なく使える位置を探すことが大切です。
浴槽内の立ち座りと姿勢保持を支える
浴槽の中から立ち上がるときは、洗い場とは体の高さや姿勢が異なります。
そのため、洗い場で使いやすい手すりが、浴槽内でも使いやすいとは限りません。
浴槽内で立ったり座ったりするときに支えが必要な方は、その動作の途中で自然に手が届く位置を確認します。
必要な位置は体格や体の状態によって変わるため、図面の寸法だけで決めず、可能であれば実際の浴槽やショールームなどで動作を確認してから決めるとよいでしょう。
参考:LIXILオンラインショップ「握りバーの購入に関しての注意事項」
新築時に付けるか、後付けにするかを決めるポイント
お風呂の手すりを新築時に付けるか迷ったら、次の2点を分けて考えます。
- 今、手すりが必要か
- 希望する位置・種類を将来後付けできるか
この2つを確認すると「とりあえず付けておく」「今はいらないから付けない」という決め方を避けやすくなります。
今必要か、将来に備えるかを分けて考える
現在の入浴ですでに体を支える必要があるなら、新築時から手すりを設置する方向で検討します。
一方で、今は問題なく入浴でき、「将来必要になるかもしれない」という理由だけで迷っている方もいるでしょう。
将来必要になる手すりの位置は、そのときの体の状態によって変わる可能性があります。そのため、後付けできる場所なら、必要になってから使いやすい位置へ設置する考え方もあります。
重要なのは、将来用だから付ける・付けないと決めるのではなく、後付けできる選択肢が残っているかを確認することです。
希望する位置・種類を後付けできるか確認する
後付けできる場所なら、現在使わない手すりを新築時に付けないという選択もできます。
反対に、後から取り付けられない場所や種類で、将来使う可能性が高いなら、新築時に設置しておくか検討する必要があります。
たとえばLIXILでは、条件を満たす壁付けの握りバーは後付けできますが、浴槽内の握りバーは後付けできないと案内しています。
ただし、後付けの条件はメーカーや浴室シリーズなどによって異なります。
新築時には、次の情報をそろえてメーカーや施工会社へ確認するとよいでしょう。
- 浴室メーカー
- 浴室シリーズ
- 手すりを付けたい壁
- 希望する位置
- 希望する手すりの種類
新築時に付ける?後付けにする?条件別の判断表
迷った場合は、現在必要かどうかと、後付けできるかどうかを組み合わせて考えます。
| 現在の必要性 | 希望する位置・種類の後付け可否 | 判断 |
|---|---|---|
| 今、支えが必要 | 後付け可否にかかわらず | 実際の動作を確認し、新築時の設置を検討する |
| 今は不要 | 後付けできない | 将来使う可能性があるなら新築時の設置を検討する |
| 今は不要 | 後付けできる | 必要になってから設置する方法も選べる |
| 今は不要 | 後付けできるか不明 | メーカー・シリーズ・位置・種類を確認してから判断する |
【実体験】新築時に出入口近くへ付けた手すりは後悔なし
わが家では、新築時にお風呂の出入口すぐ近くへ手すりを付けました。
実際に生活してみても、出入口の近くにあることで邪魔になったことはありません。手すりを付けたことにも後悔はなく、もう一度選べるとしても同じ位置に付けると思います。
一方で、使い勝手とは別に、手すり部分の汚れが気になることはあります。
この経験からも、手すりを考えるときは「必要かどうか」だけではなく、位置と日々の掃除まで含めて考えておくことが大切だと感じています。
まとめ
お風呂の手すりで後悔を減らすには、最初に本数を決めるのではなく、どの入浴動作で体を支えたいかを確認することが大切です。
主に確認したいのは、浴室への出入り、洗い場での移動・立ち座り、浴槽をまたぐ動作、浴槽内での立ち座りです。
必要な場所が分かったら、ドアや風呂ふたなどの邪魔にならないか、掃除しにくくならないかも確認します。
また、今は手すりが必要なくても、希望する位置や種類を将来後付けできるとは限りません。
新築や浴室リフォームでは「今必要か」と「後から付けられるか」を分けて確認すると、自宅に合った手すりの有無・位置を決めやすくなります。

